2026/01/24

こんにちは。
ドッグサロンNaturam(ナチュラム)オーナーの宮です。
「うちの子、シャンプーの準備を始めると逃げ出してしまうんです」
「お風呂場で暴れてしまって、お互いヘトヘト…」
そんなお悩みを抱えている飼い主さんは少なくありません。
大切な愛犬にきれいになってほしいという愛情が、いつの間にかワンちゃんにとっての「恐怖の時間」になってしまっているのは悲しいですよね。
でも、安心してください。
シャンプー嫌いは、やり方や考え方を少し変えるだけで、必ず克服への一歩を踏み出せます。
今回は、プロのグルーマーの視点から、ワンちゃんがリラックスしてシャンプーを受けられるようになるための秘訣と、私たちが大切にしているスキンケアのこだわりをお話しします。
【監修:Naturamオーナー宮(みや)】
グルーマー歴11年、年間600頭以上のトリミングを担当。
東急東横線学芸大学駅より徒歩4分のトリミングサロン「Naturam」のオーナー。
私(宮)についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
嫌がる理由は「ワガママ」ではありません
まず飼い主さんに知っていただきたいのは、ワンちゃんがシャンプーを拒否するのは「ワガママ」や「反抗」ではないということです。
犬にとって、足元が滑るお風呂場や、大きな音を立てて出るシャワー、鼻に水が入る感覚は、本能的に恐怖を感じる要素ばかりです。
「嫌だ!」と暴れるのは、彼らなりの必死の意思表示。
それを「言うことを聞かない子」と決めつけてしまうと、心の距離が離れてしまいます。まずは「怖かったんだね」と、その気持ちを受け止めてあげることから克服のステップが始まります。
無理強いは逆効果!トラウマを作らないために

嫌がるワンちゃんを力ずくで押さえつけて洗うのは、絶対に避けてほしい行為です。
無理にシャンプーを完遂しようとすると、ワンちゃんの中で「シャンプー=怖い、苦しい、逃げられない」という強い負の記憶(トラウマ)が定着してしまいます。
一度植え付けられた恐怖心を取り除くには、膨大な時間がかかります。
もし途中でパニックになってしまったら、その日はそこで切り上げる勇気も必要です。
「今日は足先だけ洗えたから合格!」と、スモールステップで進めていくことが、結果として克服への近道になります。
ハズバンダリートレーニングのすすめ
「ハズバンダリートレーニング」という言葉をご存知でしょうか?
これは、動物が自分の体へのケアを、自発的に協力して受け入れられるようにするトレーニングのことです。
例えば、シャワーを当てる前にご褒美をあげたり、自分からお風呂場に入ったら褒めちぎったりします。
このトレーニングの鍵は、ワンちゃんに「選択肢」を与えることです。
無理にやらせるのではなく、「これをやれば良いことがある」と理解してもらうのです。時間はかかりますが、これができるようになると、シニア犬になっても負担なくケアを続けられるようになります。
ハズバンダリ―トレーニングについては、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:ストレスフリーな愛犬との暮らしを実現!獣医師も推奨の「受診動作訓練(ハズバンダリー)」で爪切り・歯磨きがスムーズに!
飼い主さんの「協力」が克服の鍵
ハズバンダリートレーニングやシャンプーの克服は、サロンだけで完結するものではありません。月に一度のサロンでの頑張りよりも、日常の積み重ねが重要だからです。
お家でも、お風呂場に一緒に入って遊ぶだけの日を作ったり、体を触られることに慣れさせたりといった、飼い主さんの協力が不可欠です。
サロンと飼い主さんがパートナーとして同じ方向を向き、「この子がリラックスできるように」と環境を整えていく。その二人三脚の姿勢こそが、ワンちゃんの不安を安心に変える一番の特効薬になります。
洗う時の「力加減」を見直してみよう
プロがシャンプーをする際、最も神経を使うのが「力加減」です。汚れを落とそうとして、ついゴシゴシと力強く洗っていませんか?
ワンちゃんの皮膚は人間の3分の1程度の厚さしかなく、非常にデリケートです。しかも、毛を痛めるだけでなく、毛玉の原因にもなります。
強い刺激は痛みや不快感に繋がり、それがシャンプー嫌いの原因になることもあります。
理想は、指の腹を使って優しくマッサージするように洗うこと。
特に、皮膚が薄いお腹周りや内股は、そっと触れる程度の力加減で十分です。心地よい圧であれば、ワンちゃんも徐々に力を抜いてくれるようになります。
汚れを見極めてメリハリのある洗浄を

全身を同じように念入りに洗う必要はありません。
汚れやすい足先、お尻周り、口の周りは丁寧にしっかり汚れを落としますが、それ以外の背中などはサッと洗う程度で大丈夫です。(できれば、油っぽい背骨部分やお耳もしっかり洗うようにしましょう)
この「見極め」が、シャンプー時間の短縮に繋がります。
ただ、耳は苦手な子もいるので、無理はしないでくださいね。
シャンプーの時間が長ければ長いほど、ワンちゃんの集中力は切れ、ストレスが溜まります。
汚れがひどい場所をポイントで攻め、他の部分は負担をかけない。このメリハリを意識するだけで、ワンちゃんの疲労度は劇的に軽減され、シャンプーへのハードルが下がります。
ブローは「ガシガシ」しないのが鉄則
シャンプー後のドライ(ブロー)でも注意が必要です。
早く乾かそうとして、タオルやブラシでガシガシと強くこすっていませんか?
濡れている状態の被毛はキューティクルが開いており、摩擦に非常に弱くなっています。
強くこすると毛を痛めるだけでなく、皮膚に刺激を与えて炎症の原因にもなりかねません。
タオルで優しく水分を吸い取る「吸水」をメインにし、ドライヤーの風を当てる際も、スリッカーブラシを強く当てすぎないよう、ふんわりと空気を含ませるように乾かしてあげてください。
もし「全然乾かない」場合は、洗えてない・洗い流せてないがほとんどの理由です。
Naturamのこだわりは「徹底した保湿」
ドッグサロンNaturamが何よりも大切にしているのが「保湿」です。
シャンプーは、汚れと一緒に皮膚の油分も少なからず奪ってしまう行為です。そのため、汚れを落とした後の皮膚は、とても無防備な状態になっています。
そこでNaturamでは、シャンプーの工程の中に必ず高保湿のケアを組み込んでいます。
潤いを与えることで皮膚のバリア機能を高め、健康な被毛が育つ土壌を整える。ただ「洗う」だけでなく、洗う前よりも皮膚の状態を良くすることを目指すのが、Naturam流のこだわりです。
ですから、シャンプー後の保湿剤は、たっぷり使ってあげたいと考えています。
スキンケア不足が「乾燥肌」と「かゆみ」を招く
シャンプー後にワンちゃんが体を痒がったり、フケが出たりしたことはありませんか?
それは、シャンプー後のスキンケアが不足しているサインかもしれません。保湿を怠ると皮膚が乾燥し、外部刺激に敏感になってしまいます。
特に乾燥する季節や、もともと皮膚が弱い子の場合は、専用の化粧水やエッセンスでの保湿が必須です。
「シャンプーとスキンケアはセット」という意識を持つことが大切です。
Naturamでは、その子の肌質に合わせた最適な保湿剤を選定し、しっとりとした健やかな肌を維持できるようサポートしています。
スキンケア方法については、こちらの記事を参考にしてくださいね。
関連記事:【プログルーマー監修】フケが出やすい犬種は?家庭でできるスキンケア方法を解説
関連記事:犬にも保湿ケアは必須?プロトリマーが解説する愛犬の乾燥肌対策
よくある質問:トイプードルのトリミング頻度は?

お客様からよく「トイプードルのカットやシャンプーは、どのくらいのペースが良いですか?」という質問をいただきます。
トイプードルは毛が抜けにくい分、放っておくと毛玉になりやすく、皮膚トラブルも起きやすい犬種です。
一般的には「1ヶ月に1回」と言われますが、私たちはその子の「毛質」やカット内容によって微調整することをおすすめしています。
実は、同じトイプードルでも個体差があり、それによって最適なケアのタイミングは変わってくるのです。
毛質によって変わる、おすすめの頻度
例えば、毛量が多くて毛足が長め(特にブラックの子に多いタイプ)の子は、被毛にコシがあるため、意外と毛玉になりにくいことがあります。一方で、毛質が柔らかく細い「軟毛」タイプの子は、少し動くだけでも毛同士が絡まりやすく、ケアの難易度が上がります。
毛質が柔らかい子の場合は、毛玉が大きくなって皮膚を引っ張る前にケアをする必要があります。
毛玉はワンちゃんにとって苦痛でしかありません。そのため、柔らかい毛質の子ほど、少し早めのサイクルでプロの手を入れるのが、ワンちゃんの負担を減らすコツです。
理想のサイクルは「3〜4週間に1回」
Naturamが理想とするのは、3〜4週間に1回の定期的なケアです。
このペースでサロンに通っていただくことで、皮膚の汚れが溜まりきる前にリセットでき、常に清潔で潤いのある状態をキープできます。
また、短い間隔で会うことで、グルーマーはワンちゃんの小さな体調の変化や皮膚の異常にいち早く気づくことができます。「いつも通り」を維持することは、病気の予防にも繋がります。
何より、ワンちゃん自身がサロンの環境に慣れ、シャンプーを特別なイベントではなく「日常の心地よい習慣」として受け入れやすくなります。
健やかな毎日のために、飼い主さんと歩みたい
ドッグサロンNaturamは、単にワンちゃんの見た目を可愛くするだけの場所ではありません。
ワンちゃんが生涯、健康で幸せに過ごすための「健康管理のパートナー」でありたいと考えています。そのためには、やはり飼い主さんの日々の見守りと協力が欠かせません。
シャンプー嫌いの克服も、理想のトリミング頻度の維持も、すべてはワンちゃんへの「優しさ」と「理解」から始まります。
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Naturamでは、これからも一頭一頭の心に寄り添ったグルーミングをお届けしてまいります。
次回のケアの際に、愛犬の皮膚の状態や毛質について気になることがあれば、ぜひお気軽に宮までお声がけくださいね。一緒に、その子にとってベストなケアプランを考えていきましょう。
さらに詳しく知りたい方へ愛犬のシャンプーのお悩みや、現在の毛質に合わせたスキンケアのご相談も承っております。LINEよりご連絡ください。
今回の記事が、愛犬とのバスタイムをより楽しいものにするヒントになれば幸いです。
ドッグサロンNaturamオーナー宮


