2026/09/15

「チワワは体が小さいから、お手入れが簡単だと思っていたのに」
「意外と抜け毛が多くてびっくり!」
そんな風に悩んでいる飼い主様は意外に多い印象です。
抱っこしただけで服が毛だらけになったり、お部屋の隅にふわふわと毛が舞っていたり……。
なによりチワワの抜け毛を放っておくと、ワンちゃんの皮膚トラブルに繋がることもあります。
そこで今回は、トリミングサロンの現役トリマー宮が、チワワの抜け毛が多い本当の理由や正しいブラッシング手順、そしてネットで定番の便利グッズに潜む意外な落とし穴について、プロの視点から分かりやすく解説します!
この記事の監修者:宮(みや)
グルーマー歴16年、年間600頭以上のトリミングを担当。
東急東横線「学芸大学駅」徒歩4分のトリミングサロン「Naturam」オーナー。
※オーナーの詳しいプロフィールはこちらの記事をご覧ください。
チワワの抜け毛が年中多い理由と注意点

DogsalonNaturamのお客様
チワワには、春と秋の年二回大量に抜けるという特徴があります。
これを「換毛期(かんもうき)」といいます。
しかし最近は、「換毛期に関係なく、1年中ずっと毛が抜けている気がする」というご相談をよくいただきます。
その理由と注意点について解説します。
チワワの換毛期はいつ?
一般的な換毛期は、ほかの犬種と同じく春と秋です。
時期は以下のとおりです。
◆ 春(3月〜7月頃)
◆ 秋(9月〜11月頃)
春は、冬毛から夏毛に生え替わる時期で、1年の中で最も抜け毛が多くなります。
秋は夏毛から冬毛に生え替わる時期ですが、冬に比べて夏のほうが毛量が少ないため、春の換毛期と比較すると抜ける毛量はやや少ない傾向です。
なぜ年中抜けるの?「現代のチワワ事情」
最近では、換毛期がはっきりせず、年中抜け毛が多いケースも増えています。
この原因は、エアコン(冷暖房)による快適な室内環境にあるといわれています。
1年中室温が一定に保たれているため、ワンちゃんの体が季節の変わり目を察知しにくくなるためです。
毛の生え替わりサイクルが乱れてしまうので、常に毛が抜ける状態になってしまっているのです。
抜け毛防止のために着せる「洋服」の落とし穴
「お部屋や服に毛が落ちるのを防ぎたいから」と、常にぴったりした洋服を着せている飼い主様もいらっしゃいます。
しかし、これは要注意です。
ピタッとした密着度の高い服をずっと着用させていると、皮膚が蒸れて肌荒れ(皮膚炎)を起こしたり、摩擦で皮膚や毛を傷つけてしまう原因になります。
洋服を着せる場合は、「お出かけのときだけ」「冬場やエアコンの寒さ対策」など状況に合わせ、締め付けのないゆったりとしたサイズのものを選んであげましょう。
【スムースコートチワワ】ラバーブラシが主役!正しいお手入れ手順

短いツヤツヤの毛が特徴のスムースコートチワワ。
ロングのように毛が絡まることはありませんが、短い毛がチクチクと服やソファに刺さってしまうため、抜け毛のお掃除が大変なタイプでもあります。
以下で紹介するような正しい手順で、専用のブラシを使いましょう。
お手入れ手順ステップ1:ラバーブラシで抜け毛を摩擦で浮かす
スムースコートの毛は短いため、ロング用の「ピンブラシ」などは毛に入っていきません。
まずは、ゴム製やプラスチック製の「ラバーブラシ」を使い、優しくなでるように動かしましょう。
ゴムの摩擦力によって、皮膚を痛めずに不要な短い抜け毛をごっそりと絡め取ることができます。
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お手入れ手順ステップ2:スリッカーブラシで細かい毛を取り除く
次に、目の細かい「スリッカーブラシ」を優しく当てながら、残った抜け毛を処理していきます。
スリッカーブラシを使う時の注意点は以下です。
- ◆皮膚に直接ピンを当てない(水平に動かす)
- ◆無理に毛玉を引っ張らない
- ◆デリケートな部位には使わない
ピンで皮膚をこすらないよう、ブラシの面が皮膚に対して平行になるように当て、水平にスライドさせるイメージで優しく動かしてください。
もつれた毛を力任せに引くと、皮膚が引っ張られて痛みを与え、ワンちゃんをブラッシング嫌いにしてしまいます。毛玉がある場合は、毛の根元を指でしっかり押さえて皮膚を守りながら、毛先から少しずつほぐすようにしましょう。
お手入れ手順ステップ3:獣毛ブラシで上品なツヤを出す
仕上げに豚毛などの「獣毛(じゅうもう)ブラシ」で毛並みを整えてあげましょう。
毛穴の余分な脂を全体に広げ、スムース特有の美しい上品な艶(ツヤ)を引き出せます。
獣毛ブラシを使用する際は、以下の4つのポイントに注意してください。
- ◆毛玉やもつれを解くのには使わない
- ◆濡れた被毛には使わない
- ◆強く押し付けすぎない
- ◆こまめなゴミ取りが必要
スリッカーブラシより肌当たりが優しいとはいえ、力強く皮膚に押し付けてブラッシングすると、摩擦によって皮膚が赤くなったり、毛のキューティクルを傷めてしまいます。
被毛の表面を優しくなでるように、手首の力を抜いてサッととかすのがポイントです。
また、獣毛ブラシは毛が密集している分、
があります。放置すると不衛生なので、使用後は金属製のコーム(くし)などを根元から差し込んで、絡まったゴミをこまめに掻き出して取り除いてください。(※水洗いは木製の柄や毛束が傷む原因になるため、基本的には避けます)
シャンプー後など、毛が濡れた状態で使用すると、ブラシから動物の毛特有の「獣臭さ」が出やすくなります。また、ブラシ自体が湿気を吸って内部にカビが繁殖する原因にもなるため、必ずペットの被毛が完全に乾いた状態で使用しましょう。
【ロングコートチワワ】ピンブラシが主役!正しいお手入れ手順

飾り毛がエレガントで華やかなロングコートチワワ。毛が細くて柔らかいため、もつれや毛玉ができやすいのが特徴です。
ロングコートの場合は、毛の奥にある不要な「アンダーコート(下毛)」をしっかり取り除く必要があります。
お手入れ手順ステップ1:ピンブラシで全体を優しくほぐす
まずはクッション性のある「ピンブラシ」を使い、毛先の絡まりを優しくほぐしながら、毛根付近にある不要な抜け毛をしっかりと抜いていきます。
- ◆チワワの体格に合った「小さめサイズ」を選ぶ
- ◆毛玉を力任せに引っ張らない
- ◆皮膚に強く押し付けすぎない(骨格に注意)
- ◆静電気による被毛のダメージに注意する
チワワは体が非常に小さく、わきの下や内股、耳の後ろなどの狭い部分に毛玉ができやすい犬種です。大きすぎるピンブラシだと小回りが利かず、目や耳にピンが誤って当たる危険もあるため、必ず小型犬用の小ぶりなサイズを選んでください。
ロングコートチワワの耳周りや胸元、しっぽの飾り毛は細くて柔らかいため、非常に絡まりやすい特徴があります。ピンブラシはスリッカーブラシに比べて毛玉をほぐす力が弱いため、引っかかりを感じたら無理に引っ張らないようにしましょう。
毛の根元を指で押さえながら毛先から少しずつとかすか、頑固な毛玉は先にスリッカーブラシで優しく解いておくのが基本です。
ピンブラシの先端は丸く加工されていますが、チワワは骨格が華奢で皮膚も薄いため敏感です。
特に関節部分や背骨周辺、頭部などに強く押し当てると痛みを与えてしまいます。手首の力を抜き、ブラシの重みだけを利用するようなイメージで、優しくマッサージするようにとかしてあげましょう。
お手入れ手順ステップ2:スリッカーブラシで細かいアンダーコートを抜く
ピンブラシを通したあと、目の細かい「スリッカーブラシ」を軽く当て、奥に残っている細かな抜け毛(アンダーコート)を優しく取り除きます。
お手入れ手順ステップ3:コーム(櫛)で引っかかりをチェック
「コーム」を毛の根元から毛先に向かって通します。
引っかかりがある場合は毛玉になりかけているサインなので、無理に引っ張らずスリッカーブラシで少しずつ優しくほぐします。
お手入れ手順ステップ4:獣毛ブラシで毛並みを整える
最後の仕上げとして「獣毛ブラシ」を優しくかけると、静電気を防ぎ、全体の毛並みがふわっと綺麗に整います。
(獣毛ブラシはステップ1のピンブラシの代わりに使用してもOK)
⚠️自宅ケアの注意点:プロ用の「ナイフ」は使わないで!
トリミングサロンでは、スムースの抜け毛処理に「ストリッピングナイフ」という専用の道具を使うことがありますが、ご自宅で自己流で使用するのは絶対に避けてください。
刃先で皮膚を傷つけてケガをさせたり、強くやりすぎて部分的にハゲてしまう危険があります。
自宅ケアではラバーブラシが安全で効果的です。
自宅ケアの定番「ファーミネーター」に潜む落とし穴

「撫でるだけで無限に毛が抜ける!」と、ネットの口コミやSNSで大人気のアンダーコート除去ブラシ(ファーミネーター等)が気になっている方も少なくありません。
愛用されている飼い主様も非常に多いですが、実はプロのトリマー視点では、ご自宅での自己流ケアにはあまりおすすめしていません。
「抜けている」のではなく「切っている」
ファーミネーターなどのブラシは、刃の隙間が非常に細かく、構造としてはカッター(バリカンやハサミの一種)のようになっています。
そのため、撫でていると気持ちよくごっそり取れるように見えますが、実は抜け毛だけでなく、「まだ抜かなくていい元気できれいな毛」まで刃で削ぎ切ってしまっている状態なのです。
やりすぎによる深刻なリスク
「取れるのが面白くて……」と毎日熱心に使いすぎると、以下のようなトラブルを引き起こします。
◆ 毛がボロボロに傷んで、ツヤがなくなってしまう
◆ 皮膚を金属の刃で何度もこすることで、皮膚が赤く腫れたり傷ついたりする
◆ 必要な毛まで切り落としてしまいハゲてしまう(毛が薄くなる)
できるだけご自宅で使うのは避けていただきたいのが、正直なところです。
もし、ご自宅で使用する場合は、力を一切入れずに軽くなでる程度にし、頻度を守って十分に注意して使いましょう。
自宅での頻度はどれくらい?愛犬が喜ぶ「スキンシップの工夫」

「抜け毛対策のために、毎日スリッカーやピンブラシで格闘しなきゃいけないの?」とプレッシャーに感じる必要はありません。
頻度やブラッシングのコツについて解説します。
自宅での本格ケアは「月1〜2回」でも十分!
トリミングサロンに月1回ほどのペースできちんと通っているワンちゃんであれば、ご自宅での本格的なブラッシング(スリッカーやピンブラシを使った抜け毛処理)は、その合間に1〜2回しっかり行ってあげるだけで十分です。
これだけで、お部屋に散らばる抜け毛はかなり改善されます。
「毎日完璧に抜け毛を処理しなきゃ!」と気負いすぎず、サロンと自宅ケアを上手に分担しましょう。
毎日のスキンシップには、痛くない「獣毛ブラシ」が一番おすすめ
とはいえ、毎日愛犬と触れ合いたいですよね。
そんな毎日のスキンシップ(日課)には、優しくて痛くない「獣毛ブラシ」がベストです。
金属製の針金のようなブラシ(スリッカーブラシ等)は、力加減を間違えると犬にとって痛みを伴い、ブラッシング嫌いになる原因になります。
一方、天然の豚毛などを使った「獣毛ブラシ」は、肌当たりがとても柔らかく、撫でられているような心地よさがあります。
マッサージ効果で血行が良くなり、皮膚の健康維持といった効果も期待できるため、
「ブラッシング=気持ちいいスキンシップの時間」
となるよう、まずは獣毛ブラシで優しくなでる習慣から始めてみてくださいね。
愛犬にぴったりのブラシ選び、迷ったらプロにご相談ください!

市販のブラシには、硬さやサイズ、素材など本当にたくさんの種類があります。
「抜け毛が全然取れない」
「うちの子に合うブラシがわからない」
「ブラッシングを嫌がって逃げてしまう」
といったお悩みはありませんか?
は、その子の毛質、皮膚の強さ、性格(怖がり、ブラッシングが苦手など)によって、選ぶべき道具や触れ合い方は全く異なります。
当サロンでは、施術中にワンちゃんの皮膚や毛並みをプロの目でしっかり見極め、ご家庭にぴったりなブラシの種類や正しい当て方をアドバイスしています。
愛犬のお手入れをもっと楽しく、もっと快適に。お悩みのことがあれば、いつでもお気軽にトリマーへご相談くださいね!

