2024/03/19

愛犬を定期的にトリミングサロンに連れていき、シャンプーやカットで清潔に保つのは理想ですよね。
とくに毛が伸びやすい犬種だと次のような悩みはありませんか?
「愛犬の目元の毛が伸びてきたけど、まだ予約まで日がある…」
「肛門周りなど、ちょっとした汚れは自宅でササっとケアしたい」
わかります。
大切な家族だからこそ、いつでも清潔に保ってあげたいですよね。
トリミングサロンオーナーでトリマー歴10年の宮です。結論からお伝えすると、犬のトリミングをすべてご自身で行うのは、安全面や犬の健康面から見ておすすめできません。
しかし、ご自宅で安全にできる「部分ケア」は確実に存在します。
この記事では、
プロの視点から見て「自分でやってもOK」な安全な部分ケア
絶対にハサミを入れてはいけない危険な場所
自宅でケアする際の必須道具と注意点
を詳しく解説します。
自宅でのケアで愛犬の衛生を保ちつつ、プロに任せるべき全身の健康管理についてもしっかりお伝えします。愛犬の健康にもかかわってくる大切なことですから、ぜひ最後までご覧ください。
監修:宮(みや)
トリマー歴10年、年間100頭以上のトリミングを担当
東急東横線学芸大学駅より徒歩4分のトリミングサロン「Naturam」のオーナー
オーナーについてはこちらの記事で詳しく紹介しています!
サロン予約の合間に「自分で」できる安全なケア3選
愛犬を清潔に保ちたい、少しでも快適にしてあげたいという飼い主様の願いはプロとして理解しています。
ここでは、プロのトリマーの視点から見て、愛犬を傷つけるリスクが低く、衛生面で特に重要な、自宅で「自分で」できる安全な部分ケアを3つご紹介します。
- ◆目の周り:視界を妨げる毛を少しだけカット
- ◆足裏:滑り防止のため肉球からはみ出た毛のみカット
- ◆お尻周り(肛門周り):衛生のための部分にカット
目の周り:視界を妨げる毛を少しだけカット
目が毛で覆われてしまうと、視界が悪くなるだけでなく、毛が目に入って炎症を起こす原因にもなります。通常のハサミだと、先端がとがっていて危険です。道具は、先が丸くなっているペット用のハサミを用意してください。
ハサミの刃を愛犬の顔や目に向けるのはNGです。毛をすくうように持ち上げ、顔と平行になるよう下向きに切ります。切るのは、視界をさまたげている毛のみにして、目のラインに沿って少しずつ切っていきましょう。量は、目の前で揺れている毛をトリミングする程度に留めましょう。
【注意点】
顔周りのケアは犬にとって特に敏感な部分です。じっとしてくれない場合は、無理にやろうとせず、次回サロンに行ったときにトリマーに相談してください。安全が最優先です。
足裏:滑り防止のため肉球からはみ出た毛のみカット
足裏の毛が伸びるとフローリングなどで滑りやすくなり、足腰に負担がかかります。また、汚れがつきやすく、雑菌が繁殖する原因にもなるので注意が必要です。安全のため、刃が肌に直接触れないよう設計されたペット用バリカンを使いましょう。
親指と人差し指で肉球を優しく広げ、肉球の間に隠れた毛が見える状態にします。肉球からはみ出た毛の処理には、ペット用バリカンを使用しましょう。バリカンを肉球に当て、肉球の表面から飛び出している毛だけを軽く刈り取ります。優しくなでるように刈るだけで大丈夫。深く入れすぎると、かえって皮膚を傷つけます。
【注意点】
愛犬の足を無理な方向に曲げて固定するのは関節を痛める原因になります。愛犬が楽な姿勢で、嫌がらない範囲の可動域で作業を行いましょう。
お尻周り(肛門周り):衛生のための部分にカット
お尻周りの毛が長いと排泄物が付着しやすく、不衛生でにおいの原因になります。この部分はサロンに行く合間にサッと処理しておきたい場所です。
優しく尻尾を持ち上げ、肛門が見えるようにします。このとき、尾の根元にある神経を刺激しないよう、上げすぎに注意してください。そして、バリカンを肛門に当てて、円を描くように肛門の周囲の毛を刈ります。肛門周りにある毛だけをピンポイントで刈り、周りの毛まで刈り込まないようにしましょう。
【注意点】
繊細な部分ですので、嫌がって暴れる場合は事故につながりやすいです。もし難しい場合は、サロンで「お尻周りのみ」のクイックケアサービスがあれば利用するのもおすすめです。
全身カットを「自分で」行う危険な理由とサロンの役割

「自分で」できる部分ケアは、あくまで次回のサロン予約までの「応急処置」にすぎません。全身のカットや健康チェックは、必ずプロに任せてください。
自宅ケアのリスクについて、以下のとおりお話しします。
- ◆毛玉の発生
- ◆清潔さの低下
- ◆スタイリングの難しさ
- ◆皮膚トラブルのリスク
ハサミやバリカンの怪我
愛犬の皮膚は人間のまぶたほど薄く、非常にデリケートです。また、犬は予期せぬタイミングで急に動きます。
プロのトリマーは、犬の体の構造や神経、血管の位置を熟知したうえで、犬の動きを予測しながら道具を使います。自己流のカットで皮膚を深く傷つけてしまうと、出血や感染症、最悪の場合は命にかかわる怪我に繋がるリスクがあります。
皮膚トラブルのリスク
愛犬の皮膚の状態は、犬種や体質、年齢によって異なります。
毛玉は皮膚を引っ張り、血行不良を起こし、湿気がこもって皮膚病(膿皮症など)の原因になります。毛玉を解くにはプロの技術が必要です。
また、犬の皮膚のPHバランスは人とは違います。自宅で人間のシャンプーを使ったり、乾燥が不十分だったりすると、皮膚トラブルを招きます。
毛質を悪化させる・スタイルが崩れる
自己流のカットは、見た目だけでなく、次のトリミングにも悪影響を及ぼします。毛をスキすぎたり、カットラインがガタガタになったりすると、次に毛が生えてきたときに毛質が悪化して、プロでもリカバリーが難しくなる場合があります。
トリマーは犬種や毛質、骨格に合わせたカットをすることで、自宅でのブラッシングのしやすさや、毛玉になりにくさも計算しているのです。
また犬の皮膚は人よりも薄く、皮膚のトラブルを抱えやすいので、なおさら定期的なトリミングで清潔に保つようにしましょう。
ブラッシングのコツについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
【関連記事】嫌がらないブラッシング方法を解説!お手入れ頻度やおすすめ道具は?
「犬のトリミングを自分で」どこまでOK?プロが教える安全ライン

私たちプロのトリマーは、愛犬の全身のカットやスタイル作りについては、基本的にサロンにお任せいただくことを推奨しています。
その主な理由は、以下の通りです。
-
- ◆愛犬の怪我のリスクが高い
- ◆専門的な対応が必要になる場合がある
急な動きでハサミやバリカンで皮膚を傷つけたり、繊細な部位を誤って切断したりする危険性があります。また、自己流の無理なカットで毛質を悪化させたり、深く切りすぎてしまい、次回のサロンでのスタイル修正が困難になることもあるためです。
自宅で簡単にできるカットのコツを紹介する動画などもありますが、愛犬の安全と美容の維持を考慮すると、全身のカットをご自身で行うことはおすすめできません。
しかし、サロンの予約までに日数がある場合や、衛生面で気になる箇所がある場合は、以下のような部分ケアに留めましょう。
【自宅ケアを推奨する範囲】
- ◆衛生管理が必要な部分: 肛門回り、お尻周りの毛
- ◆安全確保が必要な部分: 足裏の滑り止め対策のための毛
- ◆視界を妨げる部分: 目の周りの伸びた毛(極最小限)
これらの部分ケアを行う際には、以下のプロが守るべき安全ポイントを厳守してください。
- ◆体調を最優先する
- ◆「少しずつ」を徹底する
- ◆愛犬の動きに細心の注意を払う
- ◆毛を刈る方向を意識する
自己流の過度なカットは、前述のようにサロンで対応できなくなるリスクもありますので、あくまで「応急処置」と認識し、最小限にとどめましょう。
愛犬の健康と美容のため自己流カットは最小限に留めましょう。

この記事では、「犬のトリミングを自分で」行う際の安全な範囲と、プロに任せるべき理由について解説しました。
自宅での部分ケアは、愛犬を清潔に保ち、サロンの予約までの間を快適に過ごすための応急処置として非常に有効です。
しかし、全身のカットや複雑な毛玉の処理、皮膚の状態のチェックといった健康に直結するケアは、プロの知識と技術が不可欠です。
愛犬の健康と美容は、私たちプロのトリマーにお任せください。
東急東横線学芸大学駅より徒歩4分のドッグサロンNaturam(ナチュラム)は、オーナーの宮をはじめ、経験豊富なトリマーが在籍しています。
当サロンは、見た目の可愛らしさだけでなく、「犬の気持ちを最優先する」ことをモットーとしています。トリミングが苦手な子も、皮膚が弱い子も、その子の状態に合わせた丁寧な施術で、心身ともにリフレッシュできる時間を提供します。
愛犬のお肌の乾燥やかゆみのケア、お口の汚れや口臭ケアなど、健康に関するお悩みも承ります。
ご予約やご相談はLINEからお気軽にご連絡ください。皆様と愛犬にお会いできるのを心よりお待ちしております。
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